はじめに
まずは、製図受験生の皆さま
長きにわたる学習と本試験、本当にお疲れさまでした!
納得のいく計画ができた方もそうでない方も
今まで学習してきた締めとして、一緒に最後まで本試験に向き合っていきましょう!。
もし、この記事を見ているあなたが
…庁舎の対策って、結局何をすればよかったのか知りたい
…問題における採点ポイントを知りたい
そんなモヤモヤを解消するために、この記事でポイント解説いたします!
この記事でわかること
- 受験生全員が共通する製図対策の基本的な学習方針
- 当塾でしか伝えていない「庁舎」の対策
- 令和7年「庁舎」の出題ポイント
【注意点】
当記事は、標準解答例公表前の分析となっております。
必ずしも直結するとは限りません。
当塾がどのように本試験を捉えたのかを参考にしていただけますと幸いです。
そして、一級建築士製図試験の本当の対策についても触れていきます。
厳しい内容にもなるかもしれませんが、予めご了承ください。
【全員共通】一級建築士製図試験の学習方針
実は、試験元が掲げている一級建築士製図試験のルール(方針)があることをご存じでしょうか。
国土交通省が平成21年に公表をしている内容です。
詳しくは、こちらからご確認いただけます(出典元:国土交通省)。
↓ ↓ ↓
一級建築士製図試験対策においては
この試験元の方針を軸に学習を進める必要があります。
当塾では、そのルールに基づいた学習を軸に進めています。
例えば、サッカーなどスポーツにもルールを理解しないと戦えないのと同じです。
製図試験も勝ち方のルールを理解することで、合格までの正しい道筋が立てられます。
しかし、どの学校もこのルールについて指導をしておらず
ただ目の前の課題をこなすことを重要視しています。
すると、多くの受験生は『課題=本試験に直結するもの』と思い込み、
一級建築士製図試験における“本来あるべき対策”から大きくかけ離れてしまうのです。
だからこそ、試験元の方針を理解して学習の軸を定める必要があります。
学校の課題・実例に頼る対策では
本試験で対応できる基礎力を身につけることはできません。
それは、令和7年「庁舎」の本試験を見て改めて身に沁みました。
では、そのルールについて次の章で簡単に解説をします。
庁舎の4部門構成&考察
試験元の方針について、一部紹介をすると
必ず下記2つの部門を出題すると明記されています(下記、抜粋)。

では、それぞれの定義を見ていきましょう。
- 主たる機能の部門…用途として成立するために必要な部門
- これに関連する部門…主たる部門(これ)に関連するサブ部門
さらに、下記2つの部門を加えることにより計画建物は成立しています。
- 共用部門…誰しもが利用できる部門
- 管理部門…管理者(施設運営者とサービス)が活動する部門
つまり、一級建築士製図試験は
毎年4部門構成で出題されるというわけです。
このルールに基づいた部門の定義を理解しておくと…
毎年課題が変わっても、どの要求室がどの部門に該当するか本試験で判断することができます!
それを事前の対策としても打てるということです。
では、今年の部門構成は何だったのかを見ていきましょう!
主たる機能の部門
庁舎として成立するための部門とは何なのか?
庁舎とは「誰のため」にある施設なのか。
それこそ、庁舎の学習の第一歩になりました。
結論、国民のためにあります。
根拠は【官公庁施設の建設等に関する法律】の第四条に明記しています。
では、国民(来庁者)のための機能となる部門は何でしょうか。
それが「窓口部門」と「行政部門」です。
それぞれの窓口で利用する来庁者の属性も異なります。
窓口部門:地域住民…生活に関わる手続きをする市民向けの窓口
行政部門:外部利用者…専門的な手続き・相談を行う窓口(ex.確認申請などもその一つ)
つまり、「誰が」どの部門を利用するかでゾーニングも明確に分かれます。
低層が窓口部門、それより上階に行政部門。
これが立体的ゾーニング(階別ゾーニング)となります。
しかし、本試験の問題では「事務室」というシンプルな要求室となり
窓口部門と行政部門と分かれることはありませんでしたが
庁舎という在り方においては
来庁者が利用する窓口であることに変わりありませんでした。
そして、要求室に町長室、副町長室があるということは
「町役場」の課題であったことが分かります。
つまり、市役所レベルの規模ではなく
小規模人口の庁舎であるため、専門的な機能を持つ行政部門は備えていないような
庁舎であると読み取れます。
これに関連する部門
これに関連する部門は、メインとなる国民のための部門ではないとすると
議員が主に使用する議会部門が該当すると考えていました。
では、どのようなゾーニング計画になるかというと
立体的ゾーニングでは、窓口部門・行政部門より上階に計画することが設計セオリーになります。
しかし、本試験では階数指定があり
3階にまとめて計画することを条件として求められていました。
その点は優しかったと思います。
では、試験元は何を受験生に求めていたのかを考えると…
議会部門の平面的ゾーニングを理解しているかをチェックしたい!
つまり、計画の要点等にもあるように要求室(諸室)同士の関係性を理解しているかどうかを
確認したいのではと考えています。
とりあえず、パズルのように要求室を当て込むのではなく
・来庁者側ロビーに面して議会事務局を配置
・それに隣接して議長室を計画
など、諸室の本来あるべき機能を発揮できるゾーニング計画となっているのかが
空間構成における重要なポイントのように思いました。
また、セキュリティ面においても
来庁者が議員のエリアに自由に行き来できないように
扉で区切っているかもポイントになっていると考えます。
これは、どの課題も同じで
建物の在り方として、利用者と管理者を明快に分けるのは設計において基本となります。
共用部門
共用部門の要求室は、主に住民交流スペースとカフェが該当しました。
住民交流スペースは、計画の要点等にもあるように
公園との関係性について求められていました。
これは冒頭に示されている
住民に親しまれている公園という文章からも読み取れるように
住民交流スペースは公園に面した計画にする必要があると考えます。
また、カフェについては
「大地震等の自然災害が発生した際は、炊き出しなどに利用できる」とあるため
◆計画の要点(3)
発電機の給電対象を厨房機器として、自然災害発生時に備える計画を記述しても良いと思われます。
その他、乳幼児連れ来庁者に配慮した室として
授乳室(令和5年図書館参照)やキッズスペースを計画することも適切と考えます。
管理部門
管理部門は、執行部門の中にもいくつか該当するものがあります。
- 町長室
- 副町長室
- 書庫
- 大会議室
- 会議室A,B
- サーバー室
- 倉庫
その他、設備の中には下記が該当します。
- 休憩室
- 更衣室
- 守衛室
- ゴミ置場
- 受水槽室
- 消火ポンプ室
これらは来庁者が勝手に進入できるエリアではありません(もちろん事務室もです)。
そのため、計画の要点等(1)③のセキュリティに関しては
来庁者と職員とのエリアは扉で明確に区切り、ICカードで機械的にセキュリティを切るなどの
計画が必要になります。
法規
今回、新規問題として出題されたのは大きく2点です。
- 主たる階段:円滑化誘導基準
- 隣地斜線制限の適合が確認できる情報
特に、隣地斜線制限についての見解を求めている受験生が多いように感じます。
そのような中で、試験元が何を求めているのかを改めて考えてみましょう。
結論、後退距離や計算式は示す必要はありません。
ただし、明記しても建築基準法を違反しているわけではないため、一発アウトにはならない可能性があると考えています。
ランクⅣは、そもそも「未完」or「法規違反(違法建築物の設計)」が主な採点基準になります。
しかし、3階建ての規模という条件の中で、隣地斜線制限に抵触することは0に近いと思われます。
後退距離や計算式を示す必要が無いという点については
隣地斜線制限の「後退距離の緩和」の理解がポイントになっています。

右図(緩和あり)では、斜線の立ち上がり20m(31m)を超える部分において
建物がセットバックしている場合、後退距離Dをその位置で取ることが可能になります。
しかし、今回は建物規模が3階建て、用途地域が準住居地域であることから
建築物の高さが20mを超えることはまず無い計画になったかと思います(前述同様)。
つまり、後退距離に関しては無限大∞となるため、斜線を示す必要がなくなります。
では、どのような採点をされるのか。
おそらく、図面表現に関する内容に影響がある可能性があります。
その理由としては2点あります。
- 「Ⅱ.要求図書-1.要求図面」が図面表現に関する項目であること
- 下記、試験元の方針による合格基準の設定に図面表現が明記されていること

とはいえ、試験元が標準解答例でどのように示されているのかを確認し
最終的に何を伝えたかったのかを改めて汲み取り、今後の対策に活かす必要があります。
構造計画
今回は、耐震・免震・制振の中から自分で選択をして設計をすることが求められました。
こちらに関しては、どの構造を選択しても問題ないと考えます。
大切なのは、選択した構造に対して、適した図面・計画の要点等になっているかが見られるポイントになると思われます。
おそらく、多くの受験生が令和6年「大学」同様に免震構造を選択しているため
免震構造は割愛して、耐震構造に関する内容を当記事ではお伝えします。
- 災害対策本部の機能を有することから庁舎は防災拠点であるため、目標耐震性能Ⅰ類とする
- 耐震計算ルート3を採用し、大地震時において保有水平耐力計算を行い、必要保有水平耐力を1.5倍割増
- 架構形式は、短辺方向:耐震壁(耐力壁)付きラーメン架構、長辺方向:ラーメン架構
- 耐震壁は平面的にバランス良く配置、立面的に上下階連続して配置(偏心率・剛性率の遵守)
- 基礎計画はべた基礎(基礎底=GL-2m)とし、不同沈下の抑制に配慮
耐震構造に関しては主にこれらが考えられ、庁舎の機能維持という要望を満たすことが十分可能です。
大きなポイントは、耐震壁(耐力壁)を設けることで耐震性を強化している点です。
それによって、主に地震力は耐震壁(耐力壁)が負担するため
柱・大梁断面をラーメン架構と比べて経済的に計画できるようになります。
ただ、両方向ともラーメン架構でも問題ありません。
結局、選択した構造に対して、適切な回答(設計者からの提案)が出来ているかが鍵になっています。
設備計画
設備計画は、計画の要点等(2)(3)の2点が問われていました。
◆計画の要点等(2)
省エネルギー及び二酸化炭素排出量削減に際し、採用した設備システム(LED照明等、機器単体は除く)と、
採用した理由
こちらに関しては、設備計画の仕組みそのものを記述することを求められていると考えます。
例えば、下記がその一例になります。
- 空冷ヒートポンプパッケージ方式
- タスク・アンビエント照明
- 昼光利用制御システム
◆計画の要点等(3)
大地震等の自然災害が発生した際、発電機の給電対象とする設備機器と配慮した点
こちらは、屋上に計画が求められている発電機(非常用発電機と同様)から
どの設備機器に給電するかという内容でした。
庁舎の機能維持(冒頭より)に関わる設備機器を給電対象としているか
- 大会議室:災害対策本部に使用する防災機器
- カフェ:炊き出しなどに利用する厨房機器
- サーバー室:サーバー(個人情報の保守管理)
- 受水槽室:職員の一時滞在(72時間程度)に対応できる受水槽の稼働
これらは、主に特記事項を読み取れるかどうかがポイントになっています。
サーバー室に関しては、庁舎の在り方を対策の中で捉えていたかどうかが鍵になります。
次年度からの対策
今回の試験を通して、は改めて「試験元が本当に求めていること」を実感しました。
それは、どの年代・どんな課題であっても共通して問われている
建物の在り方、そして設計の本質を理解しているかという一点です。
足切り突破塾の方針は、これからも変わりません。
その視点を何よりも大切に、指導の軸として貫いていきます。
「どれだけ課題をこなしたか」という、ただ闇雲に課題をこなすだけの時代ではなくなってきています。
これからは、設計の本質を理解した者こそ合格に近づく時代と感じました。
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まとめ(メッセージ)
受験生の皆さま、本当に一年間お疲れさまでした。
この一年間、皆さまはご家族や友人、恋人との時間
そしてご自身の大切な時間を惜しみなく試験勉強に注いできたことと思います。
その努力と覚悟は、とても価値のある財産です。
試験が終わった今、「もう少しこうしておけば…」と感じることもあるかもしれません。
ですが、まずはその思いをそっと脇に置いて、日常の時間をゆっくり取り戻してください。
心と体を休めることも、大切な時間です。
足切り突破塾は、これからも本気で一級建築士試験に挑戦する皆さまを全力で応援し続けます。
あなたの努力が、必ず実を結びますように。
心より合格をお祈りしています。
足切り突破塾 講師 手古 祥太
